児童ポルノ禁止法は「実在する18歳未満の児童の人権を守るため」に作られた法律でした。
子どもへの商業的性的搾取、アジアでの子ども買春などの国際犯罪を取り締まることへの国際的な要望によって1999年に制定されました。2004年に一度改正されており、実在する児童を対象とした買春や性的な虐待、それらへの斡旋、実在する児童をモデルとした性的な動画や画像の撮影、複製、頒布、提供(それらの目的の所持)などが処罰されます。本年2008年に再び改正の時期を迎えたのです。
ですが今、この法律を巡って様々な問題が浮上しています。
ただ持っているだけでも処罰されるという「単純所持規制」
漫画やアニメ、ゲーム、CGまで規制する「創作物規制」
事実、08年6月10日に提出された与党改正案は次のように書かれています。
(1)児童ポルノを所持した者は懲役一年以下、あるいは100万円以下の罰金を科す。(「児童ポルノ所持等の禁止」第六条の二、第七条第一項)
(2)実在しない創作物を用いた漫画やアニメやCGなど、成人が18歳未満の児童を装ったAVや写真などは3年後を目処に規制を検討する。(附則 第二条)
この法案がこのまま成立すれば、現実のものとなれば今回の改正で単純所持(持っているだけで罪になる)規制がなされ、さらに3年後には漫画やアニメ、CGはおろかセーラー服物のAVまでもが規制対象となり、当然それらも単純所持規制の対象――すなわち持っているだけで処罰されるようになるのです。(法案に「検討する」とあるのは、次回改正で規制するという事実上の宣言です)。
そうなれば漫画やアニメなど、全てのコンテンツ産業は壊滅的な危機を迎えるでしょう。
「絵」を描くことが、「漫画」を描くことが、犯罪になる時代がもう目前に迫っているのです。