4:メディア規制や有害情報規制の歴史
■1989年
■1990年~99年
■2000~2005年
■2006~2008年
■1989年、宮﨑勤幼女連続殺人事件発生。
四人の幼女の連続殺人事件。犯人、宮崎勤。
事件の悲惨さ、異常性に加え、ビデオに埋め尽くされた犯人宮崎の部屋の異様な光景が日本中に前代未聞の衝撃を与える。宮崎の風貌や彼が特撮マニアであり、
またコミケにも出入りしていた事から、オタク=ロリコン、幼女性犯罪者予備軍という偏見が始まった。
この偏見は未だ根強く(特にマスコミ関係)、2005年に奈良小学生女児誘拐殺人事件で発せられた、大谷昭宏の「フィギュア萌え族(萌えヲタク)」犯人説にまで及ぶ。
TBSの女性アナウンサーがコミケ会場を指して「ここに10万人の宮崎勤がいます!」とTVで叫んだのは有名な話。
この事件によりホラー物がかなりの規制を受ける(業界の自主規制)
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■1990年~99年
◎「有害」コミック規制運動。
和歌山県の主婦が当時ヤングサンデーに掲載されていた「ANGEL」(遊人)の性描写を問題視。市に規制を陳情した事が発端。
さらに朝日新聞で「貧しい漫画が多すぎる」という社説が掲載され、性描写を扱った漫画が社会問題化する。自民党を中心に「コミック規制法」制定の動き。
これをきっかけに業界は成年マークを導入するに至った。
◎『完全自殺マニュアル』騒動
東京都の条例強化→「自殺・犯罪」を誘発、自販機・陳列規制。包装義務化を制定し、昨年7月施行。
東京を除く道府県で包括指定制度の導入(内容の良悪に関わらず、禁止描写が一定の基準を満たすと「有害」図書となる)。
99年に児童ポルノ禁止法制定。当初の自民党、社民党、さきがけ三党の案では漫画も規制対象に入っていた。のちに撤回され、単純所持規制、漫画規制を除いた法案が超党派案として成立。
◎1997年、神戸児童殺害事件発生。
犯人が14歳という年齢から、事件の原因をゲームに求めるマスコミ多数発生。ここから全国的なゲームバッシングが始まり、ついには自治体や国も問題視するようになる。
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■2000~2005年
政府・自民党・民主党のメディア規制立法の動き。
○1:自民党の動き
参院自民党が議員立法を目指して法案準備。
2000年に自民党が出版物やTV放送、ゲーム等あらゆるメディアを規制する「青少年有害社会環境対策基本法案」の制定を試みる。しかし世論の激しい反発を受けて失敗。
のちにこの法案は「青少年健全育成基本法案」という理念法と、「青少年有害社会環境適正化自主規制法案」(正式名「青少年を取り巻く有害社会環境の適正化のための事業者等による自主規制に関する法律案」)という具体的な規制法の二つに分かれたが、どちらも成立せずに消えている。
この時、自民党憲法調査会の憲法改正草案(初期案)に「青少年に有害な情報は法律で規制できる」との条文が盛り込まれる。
※青少年有害社会環境対策基本法案……青少年(18歳未満)を性、暴力など健全な育成を阻害する恐れのある有害な情報から保護することを目的とした法案である。放送、映画、出版、インターネット、DVDなど全てのメディアが規制対象になる。国は「青少年有害社会環境対策センター」を設立し、有害の基準策定や有害情報・商品の指定を行う。指定された事業者には指導・助言・勧告を行なわれ、従わない場合は公表することができることにしている。一言で言えば、国が機関を作って、メディアを問わず、青少年に「有害」とされるものを「検閲」することができるという法律。
この法律では何が青少年にとって「有害」であるかは、国が決めることになる。それ自体余計なお世話だが、それ以上に、青少年にとって「有害」であるという錦の御旗の元、事実上の言論弾圧が可能であるという法律でもある。これが成立した場合、いきなり同人活動が犯罪になるようなことはないが、同人活動を含む表現活動全般が国家が介入し、表現が著しく制限される可能性がある。
○2:民主党の動き
水島広子議員が「有害情報」の規制を公約に当選。
PT設置→「子ども有害情報からの子どもの保護に関する法律案」。
内閣府所管の「子ども有害情報センター」が出版物・映画・放送・ゲームなどあらゆるメディアに、「性表現」「暴力表現」「ドラッグ」「犯罪手法の教示」を基準にしたレーティングを設定し、またTV受像機にVチップ(過度な暴力表現や性表現のある番組を遮断するためにテレビ受像機に付けられる半導体装置)の設置を義務付けるというものであった。
○3:国・その他の政党の動き
教育改革国民会議(文部科学省・町村信孝大臣、森喜朗首相)
下記のような提言が出る。以下は一例。
・国民に子どもは厳しく「飼い馴らす」ものであるアピール。
・小中学生は約2週間共同生活と肉体労働の義務化。
・団地、マンション等に「床の間」を作る。
・バーチャルリアリティは悪である。→「青少年有害社会環境対策基本法案」へ発展。
(出典:内閣府HP http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/1bunkakai/dai4/1-4siryou1.html)
○4:刑法(わいせつ罪)による取り締り
2002年、「子どもに見せられますか」を理由に警視庁が松文館の成人コミックを摘発。
○5:ゲームへの規制論表面化。
2002年、ゲームをやりすぎると脳が痴呆老人の様になるという、「ゲーム脳」説が教育関係者や主婦らの間で大ブームを巻き起こす。さらに2005年にゲームやITに脳が汚染されるという言説を主張した『脳内汚染』(岡田尊司、文芸春秋社刊)が発行され、親や教育関係者の間で評判になる。当時は少年犯罪事件の続発もあり、マスコミは新聞、ワイドショーを挙げて大々的なゲームバッシングを開始した。
しかしこうしたマスコミ報道に対して、ゲーム業界は特に表立った反論はしなかった。
※「ゲーム脳」……日本大学文理学部体育学科教授の森昭雄が、2002年7月に出版した著書『ゲーム脳の恐怖』において提示した造語。
○6:都道府県自治体
1999年、「心の東京革命」を唱えた東京都が「青少年・治安対策本部」の新設し、警察の権限を強化した。
2004年、東京都は青少年健全育成条例を改定し、全ての出版物への内容規制に踏み込む。一時は性・暴力・犯罪・反社会的描写全てを対象にした、規制範囲の極めて広いものが検討されたが、様々な議論を経て現在のもの(著しい性描写や自殺を誘発させる内容などに限定)に落ち着く。
神奈川県が条例で暴力ゲームを規制し、「GTA3」が有害指定されるという事態に至る。
※条例による暴力ゲーム規制……2005年に神奈川県が青少年健全育成条例を改正し、有害図書指定の対象に「残虐なゲーム」を追加した。全国初のゲーム規制の条例である。同年2月の大阪府寝屋川市の教職員殺傷事件で、逮捕された少年が残虐性の高いゲームに熱中していた、との報道を受けた事が大きな背景のひとつとされる。
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■2006~2008年
●1:「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」
警察庁生活安全局の竹花豊(元東京都副知事)が「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」を設立。
その最終報告書で、ゲームの暴力シーンや性描写のあるコミックの子供への影響を指摘、同庁は業界団体に販売規制などの取り組みを求めた。
同研究会は同人誌への規制も言及している。
●2:児童ポルノ禁止法改正案
三年毎の改正規制により、今年改正となった。
焦点は「単純所持規制」「漫画やアニメなどへの規制」で、現在、自民と公明の与党、民主の三党がそれぞれ議論している。
与党案では単純所持規制の罰則付き導入が決定され、また公明党の要求により漫画やアニメの児童性犯罪への影響を国が調査する条項をつけられた。
対して民主党は規制に慎重。現行法の定義が曖昧かつ、規制範囲が広すぎる点を問題視し、抜本的改正を考えている模様。
また日本ユニセフ協会が漫画やアニメも法規制の対象とする事を求め、「ストップ子どもポルノ」キャンペーンを展開している。
●3:「青少年健全成長阻害図書類規制法案」
自民党(高市早苗)が作成した出版物やDVDなどに対する規制法。
現在、各自治体条例で行われている有害図書指定を、国で一括して行うもので、内閣府に有識者による青少年健全育成推進委員会(仮称)を設置し、規制対象や基準を策定する。
規制対象になった出版物やDVDは、青少年への販売禁止や一般図書との分別陳列、包装を販売業者に義務付けられる。
また、通信販売についても配達の際に指定図書類であることを表示することや、購入者の年齢確認を義務付ける。
青少年に著しく
(1)性的感情を刺激するもの
(2)残虐性を助長するもの
(3)自殺または犯罪を誘発するもの
(4)心身の健康を害する行為を誘発するもの―
等と曖昧な条項が多々あるため、出版業界から問題視されている。
4:「青少年インターネット規制法案(仮)」
自民(高市早苗案、総務部案、民主案)
ネットの違法・有害情報が青少年の健全な成長を阻害し、時に犯罪に巻き込まれる事を問題視した各党が今国会成立を目指して作成している。
フィルタリングの義務化、有害指定されたサイトやコンテンツの会員制義務化、プロバイダによる違法、有害情報の削除義務化などが柱。現在三種類あり、
・自民(高市案)では、法律によるフィルタリングの義務化、国による有害サイト指定、違反者に懲役を含む罰則。
・自民(総務部案)では、フィルタリングは努力規定、民間による第三者機関による有害サイトの判別。罰則なし。
・民主案では、法律によるフィルタリングの義務化、民間による第三者機関による有害サイトの判別。罰則なし。
となっている。
なおこの一連の動きに対しては、マイクロソフト、ヤフー、楽天、ディー・エヌ・エー、ネットスターの5社が4月23日に、
これら複数の政党で検討されている"青少年インターネット規制法案"について反対する意見を表明している。なお高市案は、5月24日現在でほぼ却下されつつある。
この法案は2008年6月11日に「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」として参院で可決・成立された。
【参考】
「青少年ネット規制法」成立(Itmedia)
青少年ネット規制法が成立--フィルタリングサービス義務化(CNET)
5:「情報通信法」
総務省。
電通信事業法、放送法など現行の通信、放送関連の法律を一本化し、インターネットコンテンツも放送局など同列に扱って規制対象とするもの。
(1)政治的な中立性が保たれているか (2)公序良俗に反していないか。などの観点から規制できる。
また規制の段階は社会的影響力や訪問者数の多さなどで、段階的に変わる。
個人のblogやHP、掲示板も対象。また新聞社や通信社によるネット配信記事なども規制対象となる。
経団連や日本新聞協会などが反対を表明している。
補足:日本の出版界、ゲーム業界の自主規制動向
出版4団体(日本雑誌協会、日本書籍出版協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会)、出版問題懇話会それぞれの取り組み。出版倫理協議会は有害指定図書には帯紙措置。
また18禁マンガ単行本は「成年コミック」マークを、18禁雑誌には「成年向け雑誌」マークを表示している。さらに雑誌は小口のシール止めなどで未成年による立ち読みなどを防いでいる。
社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は06年にゲーム年齢区分の「CEROレーティング」に"18禁"の「Z」区分を導入している。
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